「和の精神」と「挑戦」が交差する。聖徳学園が描くVUCA時代の教育と未来

生成AIの台頭やグローバル化など、社会が劇的なスピードで変化するVUCA時代。これからの子どもたちには、どのような力が必要とされるのだろうか。今回は、合同会社キャンパス代表の千葉が聖徳学園の峯岸 渉校長先生を訪問し、同校ならではの「データサイエンス」や「STEAM教育」、多様性を重んじる国際交流、そして生徒と教員が共に挑戦し続けるオープンな学校づくりの秘訣について、じっくりとお話を伺った。
〜教育対談開始〜
お客さんを楽しませる「おもてなし」の心と、日常にある国際交流
千葉本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。パンフレットやホームページだけでは見えてこない、校長先生の教育への信念や、聖徳学園のリアルな姿について深掘りしてお話を伺えればと思います。
さっそくですが、今日、貴校の文化祭を見学させていただきました。中学生と高校生が一体となって非常に活気があり、他校とはまた違った印象を受けました。生徒たちが自分たちで楽しむだけでなく、来場者を楽しませようとする「おもてなし」の雰囲気がとても強かったのが印象的でした。
峯岸校長ありがとうございます。本校には中学から上がる生徒と高校から入る生徒(高入生)がおりまして、中学生は高校生の背中を見て学び、高校生は中学時代にできなかったことに挑戦するという良いサイクルができています。「お客さんに見てもらい、楽しんでもらう」という意識を生徒たちがしっかり持ってくれているおかげで、文化祭も年々盛り上がっているのだと思います。
千葉新しくできた13号館にお邪魔した際も、国際色豊かなスタンプラリーが行われていて、外部から来た私たちもすっかりその楽しい雰囲気に巻き込まれました。
峯岸校長いろいろな方にお越しいただき、おもてなしをする良い機会になっていますね。実は来週も、ニュージーランドのハイスクールから30名ほどの生徒さんが来校される予定です。さらにその翌日にはマレーシアからもお客様がいらっしゃいます。本校では中学3年生でグローバル研修旅行としてニュージーランドを訪問し、現地の学校で授業を受けさせていただいており、そうしたご縁で向こうからも来ていただいているんです。
千葉日本にとどまらず、世界と日常的につながっているのは素晴らしい環境ですね。
峯岸校長これからグローバル化が進む中で、多様な国の方々と協力して社会を動かしていく力は必須です。ですので、本校にはイギリスやニュージーランドだけでなく、ガーナ、インド、フィリピンなど、様々な国籍のネイティブ教員が在籍し、英語や文化を教えてくれています。
千葉ネイティブ教員というと、特定の国に偏りがちな学校も多い中、多様なバックグラウンドを持つ先生方がいらっしゃるのは非常に魅力的です。生徒たちはどのくらい、そうした先生方と触れ合う機会があるのでしょうか?
峯岸校長中学生は「総合的な学習の時間」や英語の授業などで日常的に触れ合っています。高校生になると、高2の「探究」の時間で国際貢献プロジェクトに取り組みます。自分がどの国に対してどのような支援や貢献ができるかを考え、実践していくのですが、その過程でも様々な国の先生方から直接お話を聞いたり、アドバイスをもらったりしています。英語の授業にとどまらず、多角的な視点で世界とつながる機会を設けています。
教科の枠を超えるSTEAM教育と、プロから学ぶ「本物」の体験
千葉聖徳学園といえば「データサイエンスコース」を筆頭に、最新の機材を活かして新しい発想を形にする教育に力を入れられている印象があります。実際のところはいかがでしょうか?
峯岸校長データサイエンスコースを新設したことで、生徒たちが「いろいろな着眼点で社会の課題を捉える」という問題意識を持てるようになり、それが他の生徒たちにも良い影響を与えていると感じています。数学や情報といった枠にとらわれず、自分で課題を見つけてアプローチしていく姿勢が学校全体に広がっていますね。
千葉一つのコースの取り組みが、学校全体の起爆剤になっているのですね。現在注目されている「STEAM教育」にもいち早く取り組まれていると伺いました。
峯岸校長はい、本校はかなり早い段階からSTEAM教育を取り入れ、教科横断型の学びを実践しています。例えば、中学1年生の総合的な学習の時間では「映画作り」を行っています。5人1組のグループでSDGsをテーマに課題を見つけ、写真のコマ撮りをつなげて一本の映像作品を作るんです。
この授業では、背景のセットは美術の先生に教わりながら粘土で作ったり、物語の構成やセリフは国語の先生に相談したり、効果音の選び方は音楽の先生にアドバイスをもらったりと、各教科の先生が協力して一つの作品づくりをサポートします。
千葉まさに生きた教科横断ですね! 知識が分断されず、一つの目的のために結びついているのが素晴らしいです。
峯岸校長さらに、完成した作品の発表会には、映画『あまのがわ』などを手掛けたプロの映画監督をお招きしています。「アクティブ・シネマ・ラーニング」と呼んでいるのですが、プロの目線から「ここは素晴らしい」「でも、ここはこういう表現にすると、もっと良かったですね」と中1相手でも容赦なく、的確に講評していただきます。学校の先生に言われるのとは全く違う重みがあり、生徒たちにとって非常に貴重な経験になっています。
千葉中学生の段階からプロの厳しい意見をもらえる機会なんて、そうそうありませんよね。そうした本物の体験が、生徒たちの感性や発想力を育てているのだと感じます。
建学の精神「和」を体現し、社会の課題を解決する
千葉校長先生が目指されている、3年間あるいは6年間を通じた「生徒像」について教えていただけますでしょうか。
峯岸校長本校は聖徳太子の「和の精神」を建学の精神に掲げています。「和」というと、ただ単に「みんな仲良くする」ことだと思われがちですが、本校が目指すのは少し違います。「自分の考えをしっかり持ち、他者の意見にも真摯に耳を傾け、それらを融合させて新しいものを創り出すこと」を意味しています。
人と人とのつながりを大切にしながら、未来に向けて社会に貢献できる人材を育てていきたいと考えています。
千葉先ほどデータサイエンスコースの高1生のプレゼンを少し拝見したのですが、まさにその理念が体現されていました。現状の課題を分析し、自分なりの解決策を持ちつつ他者の意見を取り入れ、文化祭の新しい入場システムを提案していました。
峯岸校長ええ、今年の文化祭でそのシステムを導入したいと提案があったのですが、まだセキュリティや運用面で欠点がいくつかあり、「今年は見送ろう」とストップをかけたところなんです(笑)。でも、そうやって自発的に課題を見つけ、仕組みを作ろうとする姿勢は頼もしいですね。
学年が上がるとさらに視野が広がり、高3では災害時に自分の居場所を知らせるシステムを考えたり、高2では職員室にいなくて、どこにいるかわからない先生の居場所を教室からでも分かるシステムを開発しようとしたり、身近な問題から社会課題まで、生徒なりによく考えて行動しています。
千葉大人が「仕方ない」と見過ごしてきた不便さに対して、テクノロジーを使って解決しようとする発想力と行動力が素晴らしいです。そして何より、そうした生徒の挑戦を許容し、応援する学校の雰囲気が根付いていますね。
峯岸校長本校には「いろんなことに挑戦しなさい、失敗してもいいじゃないか」という雰囲気があります。失敗したからといって冷やかしたりバカにしたりするのではなく、「次また頑張ればいい」と背中を押す。だからこそ、生徒たちは失敗を恐れずに成長できるのだと思います。
千葉その「失敗を許容する文化」が、地域社会との連携にもつながっていると伺いました。
峯岸校長そうですね。中学1年生で新潟県の阿賀町へスプリングキャンプに行き、民泊などで地域の方々に大変お世話になります。その恩返しとして、高校生になった彼らが「地域おこしプロジェクト」を立ち上げました。
生徒たちの熱意が実を結び、今年の8月には阿賀町とパートナーシップ協定を結ぶことになり、私も調印式に出席してサインをさせていただきました。町長や県議会の方々もいらっしゃり、生徒たちが自らの手で少しだけ社会を動かした瞬間でした。
千葉中高生が自治体と協定を結ぶなんて、驚きです。生徒の発案を学校が頭ごなしに否定せず、実現までサポートする懐の深さがありますね。
峯岸校長昔なら「東京の中高生が何を言っているんだ」と断られていたかもしれませんが、今は社会全体が寛容になり、子どもたちのアイデアを受け入れてくれる時代になりました。町の方からも「12月までに具体的な提案を出してくれれば、議会にかけて予算化できるように頑張るよ」と言っていただいています。こうした社会とつながる機会を、これからもどんどん増やしていきたいですね。
正解のないVUCA時代を生き抜く「判断力」と「協働性」
千葉生成AIの急速な普及やグローバル化など、社会が劇的に変化する「VUCA時代」において、子どもたちが社会に出て活躍するためには、どのような力が必要だとお考えですか?
峯岸校長生徒たちには常々、「君たちが活躍する10年後、20年後は、私たちが想像もつかない社会になっているぞ」と伝えています。受け身の勉強だけでは通用しません。これからは「正解のない問い」に立ち向かうことが求められます。
だからといって「AIがあるから知識はいらない」というのは間違いです。最終的にAIの出した情報を「判断」するのは人間の知識に基づくからです。確かな知識を持っていなければ、正しい判断はできません。
千葉おっしゃる通りです。知識という土台があってこそ、新しいものを生み出せるのですね。
峯岸校長その上で、自分なりの考えを持ち、「他者を幸せにするには、社会に貢献するにはどうしたらいいか」を考えてほしいのです。これからの時代、一人で完結する仕事は減っていくでしょう。多様な人々とプロジェクトチームを組み、自分の意見を言い、他者の意見を聞きながら協働していく力が、より一層重要になってきます。
千葉そうした力を育むことは、大学進学などの進路指導にも大きく関わってきそうですね。
峯岸校長はい。中高の6年間、あるいは高校の3年間で、「自分の強み」を発見し、社会で何をしたいのかを見つけてほしいと願っています。「なんとなくMARCHレベルの大学に行ければいい」というのではなく、「自分は将来こういうことがしたいから、この大学のこの学部に行くんだ」という明確な目的を持って進路を選んでほしいのです。
千葉目的意識を持たせるために、学校としてどのようなアプローチをされているのでしょうか?
峯岸校長本校では年に6回、担任との個別面談を実施しています。人から強みを教えられるのではなく、対話を通じて生徒自身が自分の強みや興味関心に気づけるよう、コーチング的なアプローチを重視しています。自分で見つけた目標でなければ、最後の一番苦しいところで踏ん張りがききませんからね。
教員自身も学び、挑戦し続けるオープンな学校づくり
千葉他校にはない、聖徳学園ならではの独自の取り組みがあれば教えていただけますか。
峯岸校長大きな特色として「教員による進学セミナー」が挙げられます。他校では塾や予備校の先生を招いて放課後講座を開くケースが多いですが、本校ではすべて自校の教員が担当しています。年間で約30回、月曜から土曜まで日常的に開講しています。
千葉それはすごいですね! 先生方の負担も大きいと思いますが、あえて自前でやられる理由は何でしょうか?
峯岸校長先生自身の勉強・向上につながるからです。生徒に教えるためには、先生自身も最新の入試問題を解き、研究しなければなりません。若手の先生は基礎講座を、ベテランは難関大対策をといった具合に、先生が自らを磨く場にもなっているのです。
また、外部の予備校にお願いすると、学校のカリキュラムと予備校のカリキュラムが別々に進み、生徒の負担が大きくなりがちです。自校の先生がやれば、現在の授業進度に合わせて内容を調整できるため、生徒にとっても効率よく学べるというメリットがあります。
千葉なるほど、先生自身が学び続ける姿勢が学校の文化になっているのですね。
峯岸校長実は前校長からの教えでもありまして、「どんどん外に出て、研修を受け、自分を磨きなさい」と教員には強く言っています。例えば最近なら「生成AI関連の研修があったらどんどん行きなさい」と。学校という組織は、どうしても「井の中の蛙」になりやすく、自分たちのやり方が一番だと思い込んでしまいがちです。社会の流れや他校のスピード感を知るためにも、教員が外部とつながることを推奨しています。
千葉先生方自身がオープンに外の社会と関わっているからこそ、生徒たちの自由な発想や挑戦を受け入れる土壌があるのだと合点がいきました。
峯岸校長学校経営の面でも、外部からの視察を積極的に受け入れています。データサイエンスやSTEAM教育の取り組みを見学したいと、全国の教育委員会や学校関係者の方が頻繁にいらっしゃいます。外部の方から質問を受けることで「あ、こういう視点も必要なんだな」と私たち自身が新たな発見をもらっています。
千葉私たちのような民間の学習塾としても、学校様と連携して子どもたちの成長を支援していきたいと考えています。校長先生から見て、我々学習塾に期待する役割はどのようなものでしょうか。
峯岸校長学習塾の皆様には、ぜひ「学校の目の届かないところ」を教えていただきたいですね。例えば「聖徳の生徒さん、この単元の理解が少し甘いようです」とか「こういう考え方でつまずいている子が多いですよ」といったフィードバックをいただけると非常に助かります。
長年同じように教えていると、テストの点数が取れているから理解していると思い込んでしまうことがあります。塾の先生方からの客観的なご意見を学校のカリキュラムや指導法に還元し、連携して生徒を育てていけたら理想的ですね。
一歩踏み出す勇気を持って、楽しい学校選びを
千葉そう言っていただけると大変勇気づけられます。私たちも忌憚のない意見交換を通じて、子どもたちのためにご協力できれば幸いです。
私自身、社会人として様々な企業やプロジェクトに関わってきましたが、貴校の「自ら課題を設定し、周囲を巻き込んで解決していく」という教育の流れは、まさにビジネスの最前線で求められているプロセスそのものだと感じます。この学校で育った生徒たちが将来、日本の科学技術や社会を引っ張っていく存在になるだろうと確信しました。
峯岸校長ありがとうございます。入学者対象説明会で伝える言葉に、「本校は君たちをしっかり見ていく。だから、一つだけ約束してほしい。それは『新しいことに挑戦する、一歩踏み出す勇気』を持ってほしい」というものがあります。
生徒たちはその言葉通り、様々な経験を通じて一歩踏み出し、自分の強みを理解し、目的意識を持って社会へ羽ばたいてくれています。私も前校長が蒔いた種を大切に育てながら、また新たな種を蒔き、次の世代へとつないでいきたいと考えています。
千葉最後に、これから学校選びをする小学生・中学生、そして保護者の皆様へメッセージをお願いします。
峯岸校長中学・高校での時間は、人生において非常に大切な期間です。どうか、「ここなら自分が楽しく、意欲的に学べる」と思える学校を選んでください。本校には、皆さんがワクワクできるような楽しい学校生活が待っています。ぜひ、その挑戦のステージとして聖徳学園を選んでいただければ嬉しいです。
千葉本日は、本当にワクワクするような、未来への希望に満ちたお話をありがとうございました。
峯岸校長こちらこそ、ありがとうございました。

聖徳学園中学・高等学校
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